แชร์

第3話 どんな子なの?

ผู้เขียน: 武 頼庵(藤谷 K介)
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-21 14:05:25

 テッサが父さんのいる執務室に入り、用事を終えて退出した頃を見計らい、僕は自室を出て無駄に長い廊下を歩いていく。

 アルスター家と我が家であるアイザック家とは、実のところそんなに交流が無い。ドラバニア王国国内で行われるイベントなどで顔を合わせたら話す程度の仲だと父さんからは聞いたことが有る。

 しかもこちらは伯爵家相当だとしても、向こうは紛れもない伯爵家であるのだ。向こうから何かお願いという名の命令が来ることは有っても、こちらからお願いできる立場にはない。

 それが今回一番厄介な所。

――いったい何の用なんだろ?

 廊下をとぼとぼと歩きながら大きなため息をついた。

 因みにドラバニア王国の爵位は最上位に公爵位があり、この爵位を叙爵出来るのは、王家の血縁の方々だけと決まっている。その下に侯爵、辺境伯、伯爵があり、そのまた下に我がアイザック家の子爵位、その下の男爵、騎士爵と続く。

 実はこの下にも準騎士爵というのも有るのだけれど、この準騎士爵位は長年軍などで貢献した、それまで貴族としては爵位を持たなかった者が名誉職として叙爵される事が慣例となっている事が多く、その他にも商家として大きな貢献が認められた時など、平民とされている人たちへも贈られることが有るのが特徴だ。

 ただし、名誉職と同じ扱いなので、正式な貴族というわけではない。なので、はき違えた人たちが今までも数多く罰せられてきたという歴史もある。

そしてもう一つ。この準騎士爵から騎士爵へ上がれるかというと、現状では『無理』だと言われている。

 そもそも貴族と平民とでは、視えない差が大きく開いているのだ。

と、まぁそんな爵位の差から、今回訪問の予約という名の命令の難しさを実感したところで、父さんがいる執務室の前へとたどり着いた。

 ドアをノックする前にもう一つ大きなため息を吐く。

コンコンコン

「ロイドです。入っても良いですか?」

「入れ!!」

「お仕事中に失礼します」

 父さんの返事を聞いてから、静かにドアを開け、一礼して声を掛けた。

「そんなにかしこまらなくていい。こっちに来て座りなさい」

「はい」

 言われるままに移動すると、それまで自分の執務机の前で書類を眺めていた父さんも、その書類を手にしたまま僕と同じように移動して、来客用のソファーの上に座る。

 父さんが座ってから、僕も父さんと対面になる様にしてソファーに腰を下ろした。

「聞いたか?」

「え? まぁ……」

 そう言うと、手に持ったままの書類にもう一度目を通し始める父さん。

「失礼します。お茶をお持ちしました」

 タイミングを見計らっていたかのように、フレックがお茶の入ったティーポットとカップを二つ持って執務室の外側から声を掛けて来た。

「フレック入ってくれ」

「失礼します」

 音もたてずにスッと入ってくるフレック。しかしお茶の用意もしっかりと手にしている。

 そのまま静かにカップを二人分テーブルに置き、お茶を注いでいく。注ぎ終わるまでがとても優雅で見惚れてしまうくらいだ。

 そして一礼してそのまま部屋から出て行こうとする。

「あ、フレックちょっと待ってくれ」

「何か御用でしょうか?」

「お前にも話を聞いていて欲しいんだ」

「私にもですか?」

 いきなりの事でびっくりしているフレック。

「そうだ。これは執事のフレックではなく、友達のフレックとして頼んでる」

 ニコッと笑いながらフレックに話しかける父さん。そんな父さんを見てため息を一つ吐くフレック。しかしそのままドアの前から静かに戻ってきた。

「わかった」

「すまん。俺だけじゃどうしたらいいか分からんのだ」

「まぁ、そうだろうな」

「とりあえず座ってくれ。友達が立ったままだと話しづらいからな」

 返事をせずに、そのまま空いている一人掛け用のソファーへと腰を下ろすフレック。

「まずはこれを読んでみてくれ」

「俺が読んでも良いのか?」

「心配するな。俺が許可するんだから」

「わかった」

 先ほどまで手にしていた書類をフレックへと手渡す父さん。

――あれ? 僕って必要なのかな?

 この二人のやり取りを見ていると、僕がここにいて良い物なのかと考えてしまう。

「はぁ~……。なるほどな」

「どうだろうか?」

「悪い話じゃないと思うが……」

「そうなんだ。悪い話じゃないんだが、何が狙いなのかが全く分からんのだ」

「確かにな。アイザック家は一応派閥争いには加わらないと、代々の王族の方々が認めていらっしゃったからな。現国王陛下もその辺は慣例的に認めていらっしゃる」

「つまり、どこにも属していないウチと手を結ぶメリットが無い」

「まぁそうなるな……」

 そんな会話が二人でされるのだが、僕はたぶん当事者なはずなのに、先ほどから会話の蚊帳の外に置かれている。

「あのぉ~……」

「うん?」

 二人でうんうんと唸っているのをただ見ているわけにもいかず、遠慮気味にではあるが声を掛けてみる。

「どうしたロイド」

「えぇ~っと、その……話の内容的には僕に関係ある事なんだよね?」

「そうだな」

「僕の話は聞かなくてもいいの?」

 父さんが眉間にしわを寄せつつ返事を返す。

「確かにそうだな……。本人に聞いてみるのが一番早いかもしれん」

「確かにな。それにまだ7歳だ。そういう類の争いでは無いと願いたいものだが」

 父さんとフレックがお互いに頷きあう。

「ロイド」

「なに?」

「お前に婚約者が出来るかもしれん」

「へぇ……。へぇ!? こ、婚約者!?」

「そうだ」

 面会の予約をしたいと、アルスター家の使者が家に来た時。まずは騙されているのではないかと疑ったらしい。

 まぁそれもそのはずで、今まで繋がりらしい繋がりが無かったのだから当たり前の話。しかし、その使者が持ってきた1通の封書が、その話が本当の事だという事を裏付けた。今目の前でフレックや父さんが読んでいたのがその封書の中に入っていた手紙だそうで、その封書にはしっかりとアルスター家の紋章が封蝋に押してあり、手紙の最後にもしっかりと当主の名と夫人の名前が連名で入っており、そこにも紋章がしっかりと押してあった。

 紛れもなく本当にアルスター家から送られてきたものである。

 それだけでも驚きだというのに、その手紙を読んで更に驚くことになった。初めは母であるリリアに話をしたのだが、母さんは「本人に聞いてみたら?」というだけで、対応は父さんに任せたらしい。

 つまり、執務室に入った時に、父さんが手にしていた書類こそが、悩みの種になっているアルスター家からの手紙だったという事。

 だから、テッサから僕にその事を知らせて、話してみることにしたのはいいけど、実際には自分でもどうしたらいいのか分からないから、フレックにも話を聞いて欲しかったと父さんは言った。

「それで、その手紙には何が書いてあったの?」

「ん? あぁそうだな」

 それまでフレックが持っていた手紙を、一度父さんが受け取って、更に僕の方へと手渡される。

 そこに書かれているのを簡単に説明すると――。

『ウチの娘が丁度アイザック家の息子と同じ歳みたいだ。どうだろうか? 一度二人を会わせてみないかね? 別に特別な意図など無いよ。ロイド君だったよね? 君の所の息子の名前は。将来の婚約者――としてとは言わないけど、どう?』

――みたいな感じ。

 僕が読んでも難しい事が書かれているだけなので、貴族的な本当の意味は分からないけど、書かれていたことに関して言うと、僕が思うのはそういう事。

「父さん」

「ん?」

「この手紙に書かれてる娘ってどんな子なの?」

「たしか……」

 僕からの質問に、天井の方を向きながら両腕を組みつつ思い出そうとする父さん。

อ่านหนังสือเล่มนี้ต่อได้ฟรี
สแกนรหัสเพื่อดาวน์โหลดแอป

บทล่าสุด

  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第22話 もう一度見せて

     ヨームを使い始めてから2日が経つけど、そこまで目に視えるような混乱は起きていない。 フレックやアランさんに頼んで作ってもらっていたヨームは、急いで作成したというのにもかかわらず、次の日には各家に5組ずつ渡せるように出来上がっていた。 特に急がせたわけじゃないと二人は言っていたし、新しいものを作るのは楽しいとアイザック領都のドランにある木工細工店では喜ばれたそうだ。 その時にどのような使い方をするのかと聞かれたようだけど、二人ともまだ話すわけにはいかないと言って、その先はアイザック家からも正式にお話が有るまでは待てと言って戻ってきたそうだ。――そこまでしなくてもいいんじゃないかな? 僕はその話を聞きながら、広まっちゃたら仕方ないのに……。 なんて簡単に考えていた。 僕の所にも、ヨームの使い方や考え方、見方などを聞きに毎日の様にメイドの皆や、使用人として働いている人、そして庭師のジャンに至るまで、途切れる事が無いと思うくらい、真剣な眼をしながら聞いてくれる人たちがいる。「ふぅ~……」「おつかれさま」 そんなやり取りをしていて、ようやく落ち着いたお昼過ぎのティータイム。独りでサロンに行きお茶をしようと思っていたのだけど、後からトコトコとアスティとフィリアが僕の後をついて来た。 その3人でお茶を飲むことにして、そのままサロンへと向かう。 いつもなら、お昼の軽い食事をした後は家族そろってティータイムなのだが、ガルバン様と父さんは執務室に入り、何やら話し合いをしているみたいだし、母さんとメイリン様も母さんの部屋へ一緒に入って行ってしまうので、ここ2日間はアスティかフィリアと一緒にお茶を飲むことが増えていた。&

  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第21話 悔しかったのです

    「――と、いうわけで、今日からこのヨームというモノを使っていきます。何か聞きたいことはありますか?」 僕が心配していた通り、中庭へと集まってもらった人達の中には、こそこそと何か話をする人もいたけれど、父さんの一喝によってそんな声も静かになった。 僕が話を始める前には、アルスター家当主としてガルバン様も、僕の考えたものを採用すると宣言してくれた。  僕が何も説明する前にガルバン様が言ってくれた事で、僕を支持すると言ってくれたのも同じ事。だからアルスター家の方からは何も声が上がらない。「ちょっといいでしょうか?」「はいどうぞ」 スッと手を上げたのはアイザック家のメイド長コルマ。「それはどのような効果が有るのでしょうか?」「それは――」「それは私が説明しよう」 僕がコルマの質問に答えようとしたら、ガルバン様が僕を手で制しながら、コルマへ答えた。「実の所、このヨームは今日から始めたから直ぐに結果がわかるというモノではない。しかも使っている人と使っていない人でその差は出にくい。何故なら使わない人達にはその考えすらないのだから。しかしこれから先はこのヨームを使う事で必ず便利だと思う時が来る。必ずだ。それはわたしが保障しよう。そうでなければアルスター家も同じ日にヨームの使用を開始するとは言わない」「……分かりました。私達もしっかりとヨームに関しては理解したいと思います」「よろしく頼む。そしてもっと大事な事が有る」「それは?」 コルマだけではなく、その場にいる皆がガルバン様の言葉を待っている。「これを考えたのがここにいるロイドだという事だ!!」 ガルバン様の言った事でその場が少しだけざわついた。&nbs

  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第20話 ヨーム

    「マクサス」「ん?」「どうやらお前の息子はとんでもない奴だったようだな」「そうなのか? 私には……いや俺にはさっぱりわからんが」 ガルバン様に対してかなり乱暴な言葉遣いになってきている父さん。しかしそれを全く気にした様子が無いガルバン様。僕はそちらの方が気になってしまった。 テーブルの上の物をいじりながら、近くに集っていた人たちが何やら話を始めているが、僕は説明が上手く伝わったことに安心して、テーブルから離れ一人ソファーへ深く沈みこむようにして座り、大きく息を吐いた。「はいロイド」 そう声を掛けてくれつつ、僕の前にお茶の入ったカップを置いてくれるアスティ。「ありがとうアスティ」「ううん」「うまく伝わったかな?」「そうね。見てみたらわかるわよ。お父様をはじめお母様まで凄く楽しそうにお話をしてるわ」「そうか……良かった」「ちょっとカッコ良かったわ」 そんな事を言いつつ僕の横へすとんと腰を下ろすアスティ。とアスティはそのまま盛り上がっている周りをよそに、お茶をゆっくりと飲み始めた。「ロイド」「はい」 しばらくはあーでもないこーでもないと話が弾んでいた皆だったけど、ガルバン様から僕の方へ声がかかると、そのみんなが僕へと視線を向ける。「それで、コレら二つの名前はどうするんだ?」「え? あ!? か、考えてませんでした……」「そういうところは抜けているんだな。ちょっと安心したぞ」「すみません」 僕がぺこりと頭を下げると、何故横にいたアスティも一緒に頭を下げた。

  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第19話 使い方

     お昼の鐘が鳴り、ダイニングにてみんなで食事をしてサロンでみんなとお茶を飲んでいると、ドアをノックする音が聞こえて来た。「フレッグです。宜しいでしょうか?」「よし、入れ!!」「失礼いたします」 サロンの中へ入ってくるフレックの手には、3日前にガルバン様が頼んでいたものと思わしき物がもたれている。 続いて入ってきたテッサもフレックと同じものを持っていた。「旦那様、伯爵様、先日の物が出来上がりましたのでお持ちいたしました」「おう!! できたか!!」「どれ……見せてくれ」 ガルバン様が興奮するのをよそに、お父さんは興味なさげにしている。 サロンの真中までフレックとテッサが近寄り、その真ん中にあるテーブルの上へと荷物を置いた。ガラン――がらんがらん!!ドサドサ!!置く時に思っていた以上に大きな音がしたので、それまで興味なかった母さんとメイリン様も、音のした方へと身体の向きを変えた。「ん? どういうことだ? 言っていたものと形が違う様な気がするんだが?」「はい、これは製作中の工房にロイド様がいらしてですね、このように変えたものも造ってくれと頼まれまして。それで時間がかかってしまいました」「ロイドが?」 その瞬間に僕の方へと全員の視線が集まる。「ロイド、どういうことだ? あれで完成ではないのか?」「う~ん……あれはあれで完成形の一つだよ」「なに?」「完成形の一つ……だと?」「うん」 そこに有ったのは、以前にサロンで話していた形のモノと、もう一組のモノ。その一つを手に取りながら、僕は

  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第18話 アスティの秘密

    アルスター一家が屋敷に泊まるようになってからすでに3日が経った。 ガルバン様が言っていたように、ガルバン様たちと一緒に来た兵士の皆さんは屋敷の敷地内でテントを張ってそこで過ごしている。 広いだけで、噴水などが有るだけの庭に今では兵士の人達の訓練する声などが聞こえてくるようになった。その中に時々父さんの姿があるけど、ガルバン様に鍛えてやって欲しいと頼まれたのだと後から聞いた。 あの日、食事の時には寝てしまっていたフィリアだけど、世の食事の時には起きてきて、その時にちゃんと挨拶が出来た。 そのあとすぐにアスティと一緒にお話をしていたので、とても仲良くなったとフィリアからもアスティからも聞いている。妹と仲良くしてくれるのは凄くうれしい。今まではあまり人との付き合いの無かったフィリアだけど、お姉ちゃんが出来たととても喜んでいた。 そんな中で僕の方はというと――。「ロイド、魔法はどのような属性があるかは知っているか?」「はい。ガルバン様」「言ってみろ」「火、水、土、風、光、そして闇です」「そうだ」  朝からお昼の鐘が鳴るまでフレックと共に勉強していた時間に、ガルバン様からの魔法の勉強時間も組み込まれた。屋敷の中で使われていなかった部屋を少し片づけ、そこに机や椅子を用意して、アスティと共に並んで教えてもらっている。「でも……」「ん? 何か分からないところがあるのか?」「え? いやでも……」「いいから言ってみなさい」「はい……。本当に属性はそれだけなんですか?」

  • 無自覚に無茶しながらのスローライフ ~え? 付いていきますよ?~   第17話 これから10日間

    「ガルバン様、先ほどのお話は本気なのですか?」「ん?」「いや、ですからロイドと婚約という話です」「あぁ。なんだまだ渋っているのか?」「いや、そういうわけでは……」 伯爵様の正式な婚約者としての申込という話をされてから、伯爵様はテーブルの上で何やら書類のようなものを書き始めてしまうし。アスティは母さんとお妃様の所へ連れていかれて、何か話をされつつ盛り上がっている。 父さんはまだ複雑な表情をしながら、伯爵様へと何度も問いただしてはいるけど、僕が感じる限りでは伯爵様から「辞める」という言葉が出てくる事は無いと思う。「良し出来た!!」「それは?」 伯爵様が書き上げた何枚にもなる書類に、最後にサインをしてから伯爵様の執事さんへとそれを手渡した。 手渡された書類に目を通す執事さん。「結構でございます」「うむ。ではそれに判をして封をしてくれ。一通はアイザック家へ、一通は爺さんへ、そして一通は国王陛下へ送付しておいてくれ」「かしこまりました」 ペコリと言一礼して部屋から出て行く執事さん。「あの……ガルバン様?」「あぁ、すまん。今のはアルスター家の娘アスティと、アイザック家の息子であるロイドとの間に正式に婚約をしたという証明書だ」「え? もう書かれたのですか?」「こういうのは早い方がイイからな。それに王家には直ぐに送るように手配はしてある」「はぁ……」 ガハハと笑う伯爵様に父さんも少し呆れた顔をしていた。「ロイド君。いやもうロイドでいいかな」「はい」「私の事もガルバンと呼んでくれ。まだお

บทอื่นๆ
สำรวจและอ่านนวนิยายดีๆ ได้ฟรี
เข้าถึงนวนิยายดีๆ จำนวนมากได้ฟรีบนแอป GoodNovel ดาวน์โหลดหนังสือที่คุณชอบและอ่านได้ทุกที่ทุกเวลา
อ่านหนังสือฟรีบนแอป
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status